2004年11月号 第526号
内容・もくじ
変わらぬ流れ
愛と視力
言葉に聴く
平和への道を妨げる動き
思いがけないところに
伝道について
ことば
休憩室
返舟だより
変わらぬ流れ
台風の大雨が過ぎて数週間が過ぎた。小さな山であるが谷からあふれ出るような大量の水の流れもおさまり今では澄んだ水が天然の音楽を奏でながら流れている。
これらの水は昼夜を分かたずどこからともなく水が集められて流れる。それをたどれば樹木の生い茂る山々の大地を通って流れてきたのである。音もなく木々やその下の土の中を通り、地下にある固い岩に沿って下へと少しずつ流れ、それがこのような清い谷川となっている。
この流れは何か月も雨が降らなくとも、止まることがない。山々を見てもただ、樹木が生い茂り、野草が覆い、山肌にはどこにも水は見えない。
しかし、それらすべてを支えている山の深いところで水は流れている。
それは、真理の流れと似ている。
「エデンから一つの川が流れ出ていた。園を潤し、そこで分かれて、四つの川となっていた。」(創世記二・10)
この聖書の最初に現れる記事は、神の国から今もあふれ出ている命の水の流れを象徴的に指し示すものなのである。
この世界にはどこにも神がいるようには見えない。それどころか混乱や悲劇、苦しみが至るところにある。
それでも、そうした表面の人間の姿の背後には、神のいのちの流れがある。そしてそれに目を開かれてそこから汲み取るものに、神の国を見させ、私たちの内部を清め、力を与えられる。