神のオーケストラ
台風が接近していた風の強い時、外に出た。山の無数の木々の枝、葉が重々しい音を立てている。それは数知れない大小さまざまの葉や小枝などが触れ合って生じる音である。
しかし、その全く無秩序に見える摩擦や接触から全体として不思議な自然の合奏となって心に響いてくる。
海の波の打ち寄せる音も同様であり、無数の水粒が衝突し、砂ともぶつかって出されるのであって、それは全くの無秩序な音であるにもかかわらず、大波の打ち寄せる音は、どんな人間の交響楽よりも重々しくまた聞き飽きることのない深みをたたえたものを持っている。
人間がめいめい勝手な声をあげたり、雑多なものをたたいたりすれば聞くに耐えない騒音、雑音となってしまうのと比べると何と異なるものが生み出されることだろう。
神は、ご自身が創造された自然を用いてなさる演奏はこのように、それぞれがばらばらのように見えながら全体として統一された響きを生み出してくる。
人間においても、健康な人、病弱な人、心の強い人と弱きもの、能力のあるものないもの、老人や子どもなど年齢もさまざま、また性格もさまざまであって、そうした数かぎりない変化を神は生み出されその全体を用いて御計画のために用いておられるである。
人間は自然と異なってさまざまの不協和音を生み出すが、それにもかかわらず、全体としてみるとき、神は、自然も人間もすべてを用い、霊的なハーモニィを生み出しつつ、神の国の完成へと導いていく。
話すことも、語ることもなく、
声は聞こえなくとも
その響きは全地に
その言葉は世界の果てに向かう(詩編十九編より)